特定商取引法の「通信販売」と「電話勧誘販売」の関係性
最近の消費者トラブルの1つに、インターネット通販サイトやテレビショッピング番組を見て、注文するために電話したところ、「定期購入にするとお得ですよ」と説明され、いつの間にか定期購入契約となっていたという問題がある。こうした行為は消費者にとって“不意打ち性”があり、特定商取引法上の「通信販売」ではなく、「電話勧誘販売」に該当する。
「通信販売」は“不意打ち性”なし
国民生活センターには、消費者から次のような相談が寄せられている。
「新聞折り込み広告の商品を注文するために電話したら、サプリメントの購入を勧められ、サンプルだけ受け取るはずが、定期購入になっていた」。
「父がテレビショッピングで真空ポンプと真空保存袋を注文した。電話で定期購入を勧められ、断ったにもかかわらず定期購入になっていた」。
ネット通販サイトやテレビショッピング番組などを見て、消費者が注文するためにコールセンターへ電話すると、オペレーターから「定期購入にすると〇〇円得しますよ」などと説明されることがある。
特商法上の「通信販売」は、広告に記載されている商品価格、支払方法・時期、商品引き渡し時期などを消費者自らが確認して納得し、申し込むというもの。つまり、“不意打ち性”がないことが前提となる。
これに対し、前述の相談のように、広告に定期購入の旨と詳細条件を明記していないにもかかわらず、電話口で突然、定期購入コースを勧めるケースは、消費者にとって“不意打ち性”がある。特商法上の「定期購入」ではなく、「電話勧誘販売」に該当することになる。
特商法の政令を改正
消費者庁は2023年6月1日、特商法の政令を改正し、ネット通販サイトやテレビショッピング番組、新聞広告などを見て、注文の電話をした消費者に対し、広告に記載されていない商品・サービスを紹介する行為を電話勧誘販売と位置づけた。
政令は「電話をかけさせる方法」の定義を規定。改正前は、電話・郵便・信書便・電報・FAX・ビラ・パンフレットなどとしていた。改正によって、これに新聞・雑誌広告、ラジオ・テレビ放送、ウェブページなどを追加した。ただし、「電話をかけさせる方法」に「口頭」は含まれていない。
改正前は、ネット通販サイトやテレビショッピング番組などを見て消費者が電話した際に、別の商品・サービスを勧誘する行為も通信販売に該当していたが、改正後は電話勧誘販売となった。電話勧誘販売の場合、1度断った消費者に勧誘を続ける行為の禁止、契約書面の交付、クーリング・オフなどのルールが適用される。
このように改正したものの、依然として、テレビショッピングやネット通販などの注文で、コールセンターへ電話した際の“不意打ち性”のある勧誘は後を絶たない。特に新規参入事業者では、改正後のルールを知らないケースもある。
シリーズ商品の案内も電話勧誘販売
電話口で、広告にない商品・サービスを勧誘すること自体は禁止されていないが、そうした行為によって契約した場合は電話勧誘販売に該当する。広告に掲載されていない別の商品の購入を勧誘することも、広告にない定期購入コースを勧誘することも、“不意打ち性”があり、電話勧誘販売に該当する。
また、広告にある商品のシリーズ商品を電話口で案内する行為については、ケースバイケースで判断されるが、広告に掲載されていないシリーズ商品の案内は電話勧誘販売に該当し得るというのが、基本的な考え方とされている。
このほか、消費者がクレームで事業者に電話をかけた際に、別の商品を案内するケースについても“不意打ち性”があり、電話勧誘販売に当たる。
一方、例えば広告に10点の商品を掲載している場合に、電話口で10商品のどれを案内したとしても、基本的に電話勧誘販売に該当しないことになる。
(了)
【文責・木村祐作(半蔵門パートナーズ法律事務所顧問) 監修・堤世浩(半蔵門パートナーズ法律事務所代表弁護士)】
