インターネット通販の「ダークパターン」とは?

インターネット通販による消費者トラブルを防止するため、「ダークパターン」への対策が重要な課題に浮上している。ダークパターンにはさまざまな手法があり、次から次へと新たな手口が登場。消費者保護の観点から、消費者庁は消費者法制度の改正に向けた検討に乗り出している。

法規制が及ばない手法も

ダークパターンは、事業者にとって都合の良い方向へと、消費者を誘導するウェブサイト上の表示・デザインのこと。さまざまな手法があり、関係法令に違反するものもあれば、法規制が及ばないものもある。

新たなダークパターンの手法が相次いで登場するなか、ネット通販や動画・音楽配信サービスを利用する消費者で、気づかずに望まない契約を結んでいたという被害が多発。ダークパターンのうち、特に消費者被害につながりやすい手法に対し、規制の導入を求める声が強まっている。

ネット通販の代表的なダークパターン

ネット通販などで見られる代表的なダークパターンの手法を紹介する。

■強制登録

通販サイトの中には、会員登録を行わなくても買い物ができるのにもかかわらず、その旨をわかりやすい場所に表示していないものもある。消費者の個人情報を収集するために、会員登録が必須であるかのように誤認させて登録を強制する行為は、ダークパターンに該当する。

■強制的情報開示

企業サイトや通販サイトにアクセスした際に、クッキーバナーが現れることが増えた。しかし、クッキーバナーに「拒否」の選択肢がないケースや、「×」を押して閉じた場合に「同意」したことになるケースもある。このようなアクセスしただけで個人のデータを共有しようとする行為が問題視されている。

■事前選択

通販サイトで見られる事前選択の手法は、消費者を誤認させる要因となりがちだ。商品注文画面で予め「定期購入」にチェックを入れているような事例もあるが、注文後にトラブルが発生する恐れがある。

■隠された情報

通販サイトでは、重要な情報がわかりやすい場所に表示されていないことも珍しくない。例えば、返品特約や、定期購入の解約条件をアコーディオンパネル(クリックすると説明文が表示される)の中に記載する手法がある。意図的に長文の利用規約を作成し、その中に重要事項を潜り込ませている事例も少なくない。

■執拗な繰り返し

代表例に、化粧品やサプリメントの通販サイトで画面をスクロールしていくと、「購入はこちらから」と表示されたボタンが、執拗に何度も出てくるという手法がある。また、ネット上でほしい商品を探しているときに、位置情報の取得で設定変更を求める表示が繰り返し出てくることもある。

■キャンセル困難

ネット通販の広告で「いつでも解約できる」と宣伝しながら、消費者が解約を申し出ると、複雑な手続きを求められることがある。さらに、注文は通販サイト上で簡単にできるが、解約する場合には電話がつながらない、メールの返信がないというトラブルなども多い。

■感情のゆさぶり

事業者にとって都合の良い契約内容を選択させようと、感情を利用した文言を用いるケースも散見される。例えば、オプションを選択せずに進もうとした場合に、「本当に加入しなくても大丈夫?」というポップアップが出現し、引き留めようとする手法などだ。

■カウントタイマー

通販サイトでカウントタイマーを用いてカウントダウンを行いながら、「あと20分で申し込みを締め切ります」と表示して、申し込みを焦らす手口がある。しかし、その後も同じ表示が出てくるなど、悪質なケースも見られる。

消費者法制度を改正へ

ダークパターンは消費者トラブルの要因になりがちなため、一定の規制が必要という声が強まっている。ダークパターンをはじめ、デジタル取引の進展に伴って新たな消費者問題が生じている状況を踏まえ、消費者庁は消費者法制度の改正に向けた検討を進めている。

2025年11月25日、「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」がスタート。26年の夏に中間取りまとめを行う。その後、「デジタル取引・特定商取引法等検討会」との合同検討会を設置し、消費者法制度を見直す。

検討テーマの1つに、ダークパターンも挙がっている。消費者契約法や特定商取引法を中心に、消費者保護の観点から、新たな規制の導入を目指している。(了)


【文責・木村祐作(堤半蔵門法律事務所顧問) 監修・堤世浩(堤半蔵門法律事務所代表弁護士)】